骨や筋肉のための栄養
骨粗しょう症予防のための栄養のポイント
丈夫な骨をつくるためにカルシウムは必要ですが、カルシウムだけ摂取すればよいというわけではありません。バランスのよい食事を基本とし、たんぱく質、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどさまざまな栄養素をとり入れることが重要です。
バランスのとれた食事
骨を強くする栄養というとカルシウムが思い浮かぶと思いますが、体の中ではいろいろな栄養素がお互いに作用しあっているため、偏った食事の摂り方は体の成長や維持、健康に悪影響を与えてしまいます。 そのため、毎日の食事でもっとも大切なことは、「いろいろな栄養素を偏りなく、十分に摂取すること」、そしてその上で骨や筋肉を強くする栄養素を意識して多めに摂取していくと良いでしょう。
~バランスのとれた食事の基本~
主食・主菜・副菜をそろえましょう!
主食:エネルギー源となるもの(糖質)…主にごはんやパン・麺など 主菜:体をつくるもの(タンパク質)…主に肉・魚・卵・大豆製品など 副菜:体の調子を整えるもの(ビタミン・ミネラル・食物繊維)…主に野菜・海藻など

タンパク質
骨は、タンパク質とカルシウム分でできています。実はタンパク質が半分を占めていて、その90%がコラーゲンです。皮膚と同じタイプのコラーゲンで、強い線維を作ります。 骨を強く保つためには、カルシウムだけを摂っていても不十分で、もうひとつの重要な構成要素であるタンパク質も不足しないようにする必要があります。また、体のタンパク質はつねに分解と合成(作られたり、壊されたり)をくり返しているので、骨だけではなく体を丈夫に保つために、毎日の食事からタンパク質を摂取することが必要になるのです。摂取量が少ない場合は体内のタンパク質が分解されて不足分を補おうとするため、骨がもろくなるだけでなく筋肉量が減り、体力や免疫力も低下してしまいます。 肉や魚、卵や大豆製品、乳製品など1日3食の食事の中で、いろいろな食材を選んで摂取しましょう。

カルシウム
カルシウムは体内にもっとも多く存在するミネラルで、体重の1~2%を占めています。このうち、約99%は骨や歯などの硬い組織に存在しています。 骨以外には血液や筋肉、すべての細胞に存在し、血液凝固や細胞の分裂、筋肉の収縮や神経の刺激など、生命維持に欠かせない作用があります。その重要な役割があるカルシウムはつねに血液中に一定量保たれている必要があり、血液中のカルシウムが不足した場合は骨からのカルシウムが溶け出して、不足分を補うしくみになっています。 もし食事から摂取するカルシウム量が不足すると、骨からカルシウムが血液中に溶け出してしまうことになるので、カルシウム不足が続いた状態では骨がもろくなってしまうことにつながるのです。 乳製品、骨ごと食べられる魚(缶詰等)、大豆製品などに多く含まれています。カルシウムは体内で吸収しづらい栄養素ですが、良質タンパク質(適量)や酢、クエン酸などと一緒にとると吸収しやすくなると言われています。また次項にて詳しく紹介しますがビタミンDは吸収を助けるビタミンです。逆に塩分やリン(加工品に多い)の摂りすぎ、多量のアルコールや喫煙などはカルシウムの利用を妨げますので、注意が必要です。

ビタミンD
ビタミンDは水に溶けにくい脂溶性ビタミンの一つで、カルシウムの小腸での吸収を良くし、血液中に入ったカルシウムを骨まで運び、骨への沈着を助けます。また血液中のカルシウム濃度を一定に保ち、カルシウムが必要以上に尿中に排泄されないように腎臓での再吸収を促すなど重要な働きをしています。 ビタミンDを多く含む食品はそれほど多くなく、主に鮭やさんま、かじき・うなぎなどの魚類(脂がのっているほうが多い)や卵黄、キクラゲ・干しシイタケ・しめじなどのきのこ類などに限られています。ビタミンDは脂溶性のため、魚類や卵黄の方が効率よく吸収されますが、きのこ類は脂肪を含む食品と一緒に調理したり、炒めものなど油と同時に使うことで吸収率がアップします。またきのこ類には紫外線によってビタミンDに変わるエルゴステロールという物質が含まれているため、機械で乾燥されている干しシイタケを購入した際は、かさの裏を日光に当てるとビタミンDを増やすことができます。

ビタミンK
ビタミンKもビタミンDと同様、脂質とともに摂取すると体内に吸収されやすくなる脂溶性ビタミンの一つです。ビタミンKにはカルシウムが骨に沈着するときに必要な「オステオカルシン」というタンパク質を活性化する働きがあり、ビタミンDとともに丈夫な骨づくりに欠かせない栄養素です。また骨の石灰化にも重要で、不足すると十分なカルシウムが取り込まれず骨が細くもろくなってしまいます。 ビタミンKは微生物によって作られるので、発酵食品の納豆に特に豊富に含まれています。また植物の葉緑素でも作られるため、緑黄色野菜や海藻にも多く含まれています。 またビタミンKも脂溶性ビタミンのため、油と一緒に調理することで吸収率はアップします。さらに他のビタミンに比べ熱に強く、調理による損失が少ないことが特徴です。
